OPENHOUSEのお知らせ&日々の事 25.04.22
2025.04.22
施主のご厚意により、
また開催できることになりました。
この物件の施主さんが、いつも行く側だった
のに招く側になるとは感慨深いと
ご連絡を下さいました。
開催させて頂けること
心より感謝しつつ、完成に向けて
邁進中です。
その現場にて
外部周りの防水、施工不良がないか、
納まりは確実か、お掃除も含めて
足場が外れてしまえば、なかなか
メンテナンスがしずらくなることを
踏まえて、外部周りの総チェックを
施し、やれるだけやって。
花粉で掃除してもすぐに板金が
埃っぽく、黄色くなってしまう
のがこの時期の難点。
ようやく足場が外れ、全容が見えてきます。
玄関周りの、焼杉と構造現しの玄関庇。
内部では、木工事佳境。
かすがいの2大大工の一人、
遠藤大工が仕上げにかかっています。
鉋で木材を仕上げ、木部内装を
整えていく真っ最中。
彼の人間性の良さ、
丁寧さとどん欲な建築知識欲、
技術、自分の仕事への矜持の持ち方、
いつもいつも尊敬しています。
彼が仲間で居てくれることが
誇りだし、かすがい建築舎の
根っこに彼の存在が欠かせません。
彼の仕事では角が気持ちよく、
いつも触りたくなるような
仕上げ。
階段手摺
寝室ヘッドレスト
こういう仕上げの在り方は、
自己満足ではなく、削っても削っても
どこまでも無垢材で、無垢木材だからこそ
出来る仕上げ。
既製品の表面強化された嘘の木材風だと
この仕上げはできません。
だからこそ私たちのような
自然素材を扱う建築屋が
このような仕上げを採用する意味、
価値があるんだと思ってます。
私たちから手が離れた後に
施主さんが住んでいく
日々の暮らしの中で気づく
優しさと使い勝手の気遣いでも
有ります。
手仕事の価値、
無垢材を使う意味、
作り手の矜持と気遣い、
このようなものが
住まい手に伝播し、
愛着を持ってこの家で
家族と共に過ごす
日々の暮らしの形の創出こそ
お預かりするお金の対価、
そして私たちに依頼して下さる
施主への+αだと思っています。
これも対価の一つ。
造作キッチン。
かすがい建築舎では
年間8棟から9棟手掛けますが
ここ数年100%造作キッチン。
この家では裏側に神社の森が望め、
隣家の入母屋の屋根、瓦が見えることで
鎌倉らしさが残る景色。
準防火地域のため、幅広のサッシが
無く、窓を連続させてガラスの面積を
増やしています。
合わせて
耐熱強化ガラスを用いて
通常の網入りガラスを採用しなければ
いけない部分を透明としています。
設計者がキッチン意匠図面、
施工者が現場納まり図面を描き、
ステンレス屋に直接天板
の発注をかけ、大工が図面を読み取り
キッチンの箱を作り、建具屋さんが
引き出しなどを取り付ける。
我々がコンロを設置し、
食洗器、水栓を水道屋さん、
レンジフードやコンセントを電気屋さん、
タイルをタイル屋さん、
水を弾く塗装を塗装屋さん、
本当にいろんな方々が
手を入れて仕上がっていく。
私たちが指示、納まり系統の
全てを担い、分離発注して
完成していくため、家具屋に
一式を発注することも可能だが
これをしていくことで、
中間マージンを省き、既製品と
変わりない金額で造作キッチンを
作り上げていくとが出来ます。
勿論、これの指示系統である
私たちの手間や時間は特別に
金額に反映していないので、
お金しか価値を見れない人、
合理的な費用対効果しか
見れない人、
モノは買えばいいと思ってる人
から見れば、ただの労力の無駄
と思われるでしょう。
でも、オリジナルで造れる
使いやすさ、自然素材に馴染む
素材を用いて空間の一つの景色
としてそこに居てくれる価値を
私たち、私達の施主さんは
知っています。
ここに既製品のピカピカした
異素材が入る違和感はやはり
馴染めません。
(フォローとして既製品の
収納量はすごい便利です!)
今や、形状、素材感、大きさなど
決まり切った形の既製品を
納めて、その隙間をどう埋めるか、
他との違和感をどう解消するかを
考えるよりも、現場でミリ単位で
調整して、ぴったり造れ、納まれば
一つの空間デザインの一つに馴染む
造作キッチンの方が私たちの
性分に合っているなとさえ
思っています。
これらの行いは、
私が超零細企業の社長をしていて
思うことにも通づるのですが、
私たちの楽しさや矜持の在り方、
やりがいにおいて
企業の経営が売り上げや利益、
費用対効果、合理性でしか
評価されないとなると、
できなくなってくることが
想像以上に沢山有るなと
思うのです。
利益では説明がしにくい、
だけど自分たちが作り手として
「これはやりたい」、
「やらなきゃならん」、
と思いながらやってる
ことこそが、数多くの
建築屋から我々を選んで
頂いた施主さんへの対価でも
あるし、かすがい建築舎の
存在価値でもある。
やっぱり人間の思考・行動は、
全くロジックではないので
会社の図式上、一番TOPに
この思考が無いと、その会社に
元々根付いていたそのような
価値は、利益や合理性にとって
変わられるのが現代の
評価対象に基づく企業の在り方。
そうならないためにも
最低限の利益をちゃんと
稼ぎ、お金に捉われずに
このイズムなのか、スピリッツ
なのかをこの共同体に継続
させるのが今の私の使命。
時代と共にマイナーチェンジは
あると思うけど、根底に流れる
ものは変えずに、
「やれるうちはやっていくぞ」
という気概を持ちつづけ、
日々の生業に落とし込んでいく
所存です。