施主の奥様は、ご自分の理想の暮らしの形を
既に持ってらっしゃって、それに加え
あらゆる神奈川県内の有名工務店の見学や
ユーチューブ、SNSで勉強され、
私の好きな建築家、村野藤吾さんの
話をしたり、建築愛もお持ちで同じ匂いも
感じれる、初回からまるで建築従事者と話しているような、
私たちと同じ目線で話が出来たことに
ビックリしたのを憶えています。
きっと、沢山の建築家、工務店と
天秤にかけて選んでくださったであろうと思ってます。
選んでくださったときは、一瞬だけ
自分を誇らしく思った記憶があります。
土地はご主人の家系筋がすでにお持ちのところで
角地であるため、採光・通風など全く気にもならない
建築的には一等地でした。
ただ、角地であるが故、視線が抜けすぎて
かえって落ち着きない形になるのと、
通りからの目線が非常に気になり、
緑を愛でる居場所、外に開いた暮らしを所望されている
のも相まって、あらかじめ境界線にフェンスを設け、
外からも内からも視界を限定していくような形を
提案していった。
土地に対しての建蔽・容積が法令上厳しく、
ご所望の大きさにはなかなかならず、
施主とのPLANの整合性を合わせるのに
すごく苦労しました。
一回5時間を超える、お互い耳から煙が出るような
詳細打ち合わせを7.8回して、一回ごとに精度が高まり、
毎回、今日はどんな打ち合わせになるだろうと
ドキドキと戦々恐々な打ち合わせの日々を重ね、
結果、コンパクトで金額も程よく抑えられ、
施主のこういう暮らしがしたいを現実的に
落とし込める形になったのではないかと思っている。
素材使いなども、しっかりメリット・デメリットを
理解し、自分たちの暮らし方にそれが合っているのかを
毎回しっかり吟味してくださり、私自身も望むし、
施主も納得したうえで適材適所な素材使いも
採用できたと思っている。
通勤の道沿いにあるため、事あるごとに
定期的にお伺いできるのもあって
毎回、とても貴重なアドバイスを
頂きます。
それがほんとに的を得ているから
考えもんです。
ご主人、奥様から
「施主はこう思うと思うよ!」
「元井君は性格上、
きっとこうしたほうがいいんじゃない?」
のような、私の人間性すら見透かした
施主から見た屈託のない意見を
いつも頂戴し、日々の業務にマイナーチェンジを
加えている自分がいます。
きっと、今後のメンテナンスの度に
このような会話が生まれ、自分の
やっていることを客観視できるきっかけを
下さると思っています。
暮らし作りを続ける限り、
見守っていきたいと思っています。