テラスハウスをリノベーションして

欲しい。

 

そんなご依頼がスタートでした。

 

ご主人は某有名ファッションブランド勤務。

奥様もアパレル関連出身で

素敵なお名前の男の子の三人の住まい。

 

ご指定のエリアではいくつかの

テラスハウスが存在し、外部環境や

設備の状態、間取り、リノベーション後の可能性,

専用庭など様々な観点から一緒に中古物件を探し、

この場所に行き着きました。

 

往々にしてバブルの前後で建てられた

RC造のテラスハウスで壁式構造の物件が

多く、この物件は、その中でもリノベーションしても

共有部分であるためどうしても変えれない

窓の付き方が非常に現代的で、風を抜きやすく

間取りを変えても上手く活用が出来る

付き方をしていた。

 

これが、この物件の一番の決め手だったと思う。

 

合わせて、どこの壁が抜けてどこの

壁が抜けないのかを綿密に調べ、

奥様大好きな民藝の雰囲気にどう

持っていけるか、お手持ちの家具をどう

配置していけるかをご提案して、一緒に

リノベーション後の姿を妄想していった。

 

RC造であるが故、どうしても

北側を中心に温度差が生まれ、

そこで空気の滞留が起こると

カビが生えてしまう環境であった

ため、できるだけ建具で間仕切り

をしていけるようにして、

開ければワンルーム化が出来るよう

プランニングを心掛けた。

 

予算上の問題、RC造であるが故の

壁面の断熱工事のしにくさなど温熱環境を

整えるための手段がなかなか取れず、LDKを

優先として床と窓の断熱工事を中心に

施工していった。

 

一部では、既存の障子を再利用して

コールドドラフト対策としている。

 

RC造のテラスハウスは、マンションと比べ

窓の多さのメリットもあるが、

壁も天井も外部の寒さや暑さの影響を直に

受けやすく、構造上蓄熱しやすいため、

予算上の問題、優先順位としての

難しさもあったが、もう少し温熱環境への

思慮をしてあげたかったと思っている。

 

仕上がりは、古いけど状態の良いものを

残していける価値観を施主が持っていて

くれたため、予算と既存と新規を

融合させながら上手くバランスが取れたと

思っている。

 

アフターメンテナンスで伺っても

本当にセンスの良いご家族だなと

いつも思う。

 

民藝を中心に派生した彼らなりの

暮らしの形。

 

私にとってもいつも心地よい。